君が大切なのです、の続き
唐突に途絶える未来よりも、交わらない未来の方が、お互いのためになると、君が笑った顔が、僕に泣くなといいながら、あまりにも情けなかったもので。どうしてあの時気付かなかったんだろう。今さらなことが多いのは、優柔不断な僕の決定的短所であることは、自覚しているんだけれども。
なんて、変装の上手な人。自分の素顔なんてかくして、表面上のその顔の下にどれだけ情けない表情で笑おうと必死になっている顔があることだなんて、誰にも悟らせないようにして。憂える必要なんて何もないと、そこで君が僕に嘘をついた。だけど、憂える必要は、やっぱりあってほしくないから、君の言葉が決して嘘にならないように、君の嘘が本当になるまで、掻い抱いて美化して美化して劣化させてもう一度抱き締めて繰り返して繰り返して。そこにあるのは決して虚しさだけではないんだ。涙を流すこともない。必要ならば、何でも附属してあげられるんだと思う。先行するのは感情。それを、肯定するのは僕か君か、それはそのとき思い知る話でいい。君が望むものを、僕が望むものを、全部全部附属させて、いらないものは削ぎ落としてしまって、そのときは、大丈夫だよって笑えるんだろう。それならば、それで十分なんじゃないだろうか。そう、言い聞かせる声が信じられないのなら、それこそ美化してしまおう?君の手に余ることならば、二人なら、可能かもしれないから。
強くなりたかった。そう言った君に対して、強く在りたかった。そう言ったあの時の気持ちは、実際の話今でも変わらないんだ。強く在りたかった。君よりも、強かでありたかった。憂える必要なんてないと僕に言い聞かせる君に、別に憂えているわけじゃあないと言ってあげるほどの強さを、あのとき見せることができなかったことは、今でも少しだけね、悔やんではいるんだよ。
一番憂える必要なんてないと、言って欲しかったのは君なんだって、今ならはっきり言ってあげられるんだ。素顔を見せろだなんて言いはしないから、本音だけは絶対に隠さずに言ってみせろよって。そうしたら、君の晒せなかった本音は、僕が守ってあげられるから。優しく抱いてあげられるから。
本当に怖いのは何か、そうだ、その仮定の話じゃないか。隣に、いてくれるのだったら、他に何も怖がることなんてないじゃない。ここに いて くれるのならば、全部、僕ならば許容してあげられると思うから。
だから他に怖がる必要なんてないんだよ。何も怖がらなくていい。この未来がいつか君とわずかでも交わってくれるのならば、今一人でいることなんて、怖くない。交わってくれるのならば。だから、君も、何も怖がらなくていいって、分かりもしないことばかりを憂える必要はないんだって言って、大丈夫だってその頬に触れてあげたい。そしたら、その言い聞かせる僕の声だけは信じてくれるかなぁ。他に何を信じてくれとは言わないけれど、何もかもを信じる必要なんてないけれど、何もかもを疑う必要だって、ないんだから。だから、どうか、その、僕の一言だけでいいから。
気に病む必要なんてないと、どこかで孤独に震える必要なんてないと、全部全部君を愛していますと、それだけの言葉を、伝えてあげたいんだ。ただ、その一言を。
未来なんて、誰にも分からない。その先なんて誰にも分からない。定まるものはない定めはない。だったら、「憂える必要なんて何もない、」でしょう?一秒先だって分からないんだから。
今どこにいるか分からない人と、どうなるかも分からない未来を探しに、無事に会える確証もないまま、だけどどうしても会いに行かなくてはならないので。無謀だなんて笑わないで。生きてることこそが無謀な博打みたいなものなんだから。
欲しいものは、そう、ただの証明だよ。
愛した人が生きた証明を、生きている僕が愛した証明を、叶うことならば君と見つけていきたいので、君と見つけて生きたいので、愛した暁には愛した証明を願わくば。
愛に生きてみたいので、
愛に死んでみたいので、
君と一緒に生きたいので、
未来も命も保証がないので、
君を許容してあげたいので、
それしかできることがないので、
それだけが僕の理由になり得るので、
連ねる理由を一息でどうぞ。全部一口でどうぞ。
全て結論付けてしまえば一言なんです。それが全てなんです。
君が好きだよ