どんな世界になろうとも、そこに君の幸せがありますように。
何に代えても、君だけは幸せになりますように。
そう、ただそうとだけ、強く強く祈ります。



もし、君の望むものがここに、真田にあるのなら、惜しみなく君に僕の出来る全てをもってして安らぎをあげるよ。
もし、君の望むものが、ここにはないと言うのなら、迷わずにこの手を離してあげる。
無条件に。ただ無条件に君の幸せを僕は望むよ。
寂しいならぎゅーってしてあげる。
怖いなら、ここは安心だってこと、何回でも言い聞かせてあげる。
道案内が必要ならば、その手を引いて行ってあげる。
どこか遠くへ飛び立ちたいのなら、旅支度をしてあげよう。
君が幸せであるように。
何よりも大切な君がただ幸せでありますように。
愛しい君が、きらきらひかる幸福をたくさん抱き締められますように。

「………分かっていると思うけど。」
「うん?」
「幸村、それ、全部がもう手遅れだよ。バカ」

嗚呼!だからどうして君はそう的確に痛いところをつくのかな!
君がまだ子供でいられる内に、正面から抱き締めたり、手だってちゃんと繋いでおけばよかった。
君が真田に懐く前に、戦とは関係のないところに行かせてあげたら、よかった。
今になって、頑なに僕の隣にいる君に、何が何でも幸せになってほしくて、堪え難くなる、だなんて。
「分かってるけど。でも、僕は君をいちばん愛してるから、そんな風に思うよ。」
愛してる、だなんて、これも今更になってから、口にするようになった気がする。
きっと滑稽に映るのだろうね。堪え難い感情にあがいている僕。
僕としてはそんな素振りは見せていないつもりだけど、君は僕の隠したものを見抜くのが、とても得意だから。
「それでも、もう、そんなんはいいよ。」
隣にいた君は、それだけ言って、僕のいない方をむく。それから器用に僕の肩に背中を預けて静かに笑った。
これだけで、じゅうぶんだ、と。
「いつかの世にも、」
君の幸せがあればいいね。
なんだかこのまま微睡んでしまいたくなるけど、それじゃあ小助が怒るかな。風邪をひく、と心配して。
「ゆきむら、」
僕を呼ぶ声に、なぁに、とわざと間延びした調子で答えて、その先に紡がれる言葉を知っていた。
「世界でいちばん、あいしているから。」
アァ、それは、なんて甘美な響き。






貴方は私にとっての、全ての内の一部