現代社会人パロ
べつに平気だもん平気だもん平気だもん。
呪文のように窓枠に肘をついて空に向かって三回唱えた。思った以上に低い声が出た。滝ちゃんが、大丈夫か、なんて聞いてきたから、もう一度今度は自分ではなく滝ちゃんに言い聞かせるために、別に平気だもん、と繰り返した。
「なぜなら私はいい子だからでーす。」
「完全に不貞腐れているじゃないか・・・・。」
「別にぃ」
なら仕事をしろ、と軽く頭をはたかれた。
だってやる気がしないんだもの。別に、分別のない子供みたいなことを言うつもりはない。仕事が忙しいのはいいことだもの。だからって、何も言わずに行方をくらますのは私的にいただけない。どこにいるのですか、とメールをすれば、出張であることと行き先が単語で帰ってきた。因みにいつ帰ってくるのかは書かれていない。質問したが、それ以来まる一日返信は無い。どうせ、帰ったらたくさん我儘を言ってしまおうかと企んでいたところだ。普段から散々我儘を言っていることは自覚しているけれど、この際棚にあげておく。
(だって口惜しいもの、)
何がって、待ち焦がれているのが自分だけだと分かっているからだ。
どうせ私が想うほどあの人は私を想ってはくれていないんだろうと、そのくらいは見当がつくけれど。それも仕方がない。だってあの人は他人に執着しない人。そして私はあの人にだけ執着している人。
本日何度目になるかも分からない新着メールを問い合わせて私はまた溜息を吐く。
あぁ、待ち遠しい!