(現パロっぽい)


大晦日から藤内と仙蔵が仕込んだ厳選された素材で作られたお節はすでに平らげられている。そのくせ、その殆どを食べた本人は呑気に雑煮を食っている。餅が伸びるのを鬱陶しそうにしている。
「喜八郎、いくらなんでも食べすぎだ。」
「だって、せっかくの正月なんですし。」
正月に限らず量を食うくせに、何かと理由をつける。
それに兵太夫と伝七にもちゃんと食べさせてあげました、と口だけで笑った。こたつがぬくい。
「綾部先輩のその食べた量ってどこに消えてるんでしょうね。」
「蛸壺を掘る原動力。」
藤内の尤もな疑問に喜八郎が適当に、されど即答する。あほ、と小さく仙蔵が咎めると、他に力使うことしてません、と答えた。それもいかがなものだろうか、と藤内は思う。兵太夫が蜜柑の皮をむいている。さらに白い筋まで器用に取り除いている。
「その筋に栄養あるって知らないのか?」
伝七が揶揄するように言った。
「知ってるよ。でも好きじゃないもの。」
このままでは昨年と何も変わらない雰囲気で流れていくだろう。理に適った伝七の発言に強かに返す兵太夫を見て、藤内は一人そう思って苦笑する。あったかいなぁ、と思う。
「あったかい」
口にしていた。あたたかいのは、炬燵だけじゃあ、ないのだ。
「あぁ、私が文次郎に店員とバトルさせて安く手に入れたものだ。」
それを分かっている癖に、仙蔵が悪戯に笑うのを見た。