鉢雷前提


ドッペルゲンガーって知ってる?海の向こうの国の言い伝えらしいけどね。うん、そう、それ。自分にそっくりな人が三人いるって。よく知ってたね、ハチ。へぇ、雷蔵が言ってたんだ。図書室の書物にでもあったのかな。で、そう、ドッペルゲンガーみたいだよね。私と雷蔵。とは言っても、私は雷蔵であると同時に何者でもないからね、死にはしないんだろうけど。ハチは、自分に瓜二つの人物がいたらどう思う?その人のこと愛せる?私は、このまま雷蔵の姿で長く生きていくだろうから、私のドッペルゲンガーって即ち雷蔵のドッペルゲンガーってことでしょう?だったら、私は間違いなくそれを愛することができるよ。だって、彼もまた、雷蔵なわけじゃない。え?そりゃ勿論一番は雷蔵だよ。だから、だから私はきっと彼を見つけたら殺してしまうだろうなァ。だって、私の雷蔵、死んでしまったら、すごく、すごく困るもの。でもそう思ったら、会ってみたいなー、って思っちゃってさ。愛する雷蔵に向って、私の愛する雷蔵を死なせないでって言って、私の愛する雷蔵を殺すの。ややこしいって?愛とはややこしいものなのだよ、竹谷八左ヱ門。それで、問題は、雷蔵のドッペルゲンガーが私のドッペルゲンガーではないということが証明できないことなんだよね。もしそうだったらどうしようか。私のドッペルゲンガーはきっと雷蔵のドッペルゲンガーじゃないのにさ。理不尽だなあと思わない?

「で、お前の考えだと、その雷蔵の顔した存在が計何人いるわけ?」