「・・・・ゼ、ロス・・・・・?」



命なんて、いらないと思ったからこういう結末を選んだわけじゃあ、ないんだよ。
俺は確かに、バカだと思うし、アホ神子なんて言われてもまぁそれでもいっかなぁ、なんて思っちゃいたけど、無知じゃない。確かに、自分の境遇や立場を含めて、この世界なんて煩わしいものばっかだったけどさ、大切なもんだってちゃんとあんだよ、俺にだって。それじゃなくっちゃ、22年もこうしていきてなんていれないっしょ?
だから、それすら置いていってもいいって思った理由、うん、あるんだ。あるんだよ。

媚ばっかり売ってくる貴族の連中が嫌いだった。自分を神子としか呼ばない世界が嫌いだった。雪が嫌いだった。赤い幻も嫌いだった。母親はどうだったろうな。
妹が好きだ。青空が好きだ。おいしいご飯が好きだ。俺は俺だって言ってくれた、ロイドが好きだ。輝かしい世界は好きだ。
ごめん。知ってる。ここで俺がどういう選択をしようとも、変わらない運命があること。ロイド、ロイドは、生きるし、コレットちゃんだって、セレスだって、生きていくよ。世界はいずれひとつになるさ。俺にだってそれくらいは分かってる。哀れな天使をさ、救ってくれるんだろう?なァ、ロイド。・・・・天使?俺じゃないよ。だって、ほら、俺はさぁ、もう救われたから。もういいよ。

俺が死んで、何になるってんだよ。

でも、ごめん。俺、生きないから。
それっていうのは、別に、こんな悲劇の人生ならいらない!なんつーバカげた話じゃなくてさ。命なんて、いらないって思ったわけじゃなくてさ。
あるよ。好きなものも大切なものも置いていってまでこの結末を選んだ理由。
知りたい?・・・・・教えてなんか、やらないよ。言ったって、きっとロイドには分からないよ。きっと。うん。
でも、ひとつだけヒントあげるとしたら・・・・どうかなぁ、心はひとつでも、脳みそいっこしかなくても、感情は決してひとつきりなんかじゃないってことかなぁ?





・・・・・・ねぇ、ロイド君はさ、来世って信じる?
(今のままの自分を受け入れてくれたことがどんなに嬉しかったか)
(何も臆することのない自分で、いつかの世で会ってみたいとも思うのだけれど)






私の宝物