例えば、私にとっての全てである。
それは、貴方にとっても全てといってもいいだろう。貴方自身なのだから。
花が美しく咲いて、空が晴れ渡り、目に見えない空気ですら美しくなった気がして、私は少し小さくなる。
そうして名前を、私の名前を呼ばれるのを、待っている。
心が深い深い海に落ちていくように、染みわたる様に満ちていく。その現象に、名前があることは、随分前から知っていた。
「私、多分長生きしますね。」
「何の話だ。」
柔らかい声で、くすりと、貴方は笑った。そうだろうが、と言って。
そう、そうして私に声をくれていればいい。別に、それが、特別な意味を持ったものじゃなくっても、私は構わないのだから。
私の心を満たした温かい水が、そのときにこぽりと音を立てて泡を出す。それを聞いてようやく私の心臓は脈打つ。
貴方はそうしてそのままで、私に水をくれていれば、それでいい。
だって私を生かすのだもの。
これが。私を紡いでいく。
そうして私は生きていく。
なんてことはない、ただの、数えきれないほどある感情の一つだ。



その名を、