空を見ていた。満天の星空。すうと指でたどったような細い月が笑っている。
指に力が入らなくって、起き上がることすら億劫だ、と思った。
それでもまだ時折体が痛むのを、生きているんだろうなと実感していた。
このまま生きてはいけないだろう、とぼんやりと思っていた。生きるなり死ぬなり、欲しいのはなんらかのアクションである。
このまま目をつぶるのも、決して間違いではないだろう。
「……おい、」
そうしてうっすらと目を閉じかけた途端に、声が私を呼び戻す。そのまま叩きつけるような強さで名前を呼ばれて、腕が私を引き上げる。
「あ、」
上手く、言葉を言うことが出来なかった。ただ、
「文、次郎、」
「そうだが?」
今、生きていてよかったと、堪らなく思った。



その理由を、